[フリウル / agitato[アジタート:激情的に] の続き / ぬるいえろ]
「すごい顔をしているな」
お前が言うのかよ。
まさぐっていた手がつい止まる。
手合わせ直後に『帰ったらお前に抱かれたい』と直球の誘い文句を告げられて、すぐさまどうこうしてやりたいのをなんとかこらえて帰宅して、ベッドに辿り着くまで我慢して。
ようやく、といった時だった。
そりゃすごい顔にもなる。なるだろ。当然だろ。
誘い文句を告げた張本人のくせに他人事のような発言をしたウルフランを睨みつけると、すっかり溶けきった灰青色と目が合った。
お前が、言うのかよ。
フリーは唾を飲み込んだ。浮かんだ言葉は同じでも、意味が違う。
すごい顔をしている、そう言ったウルフランのほうがよっぽどすごい顔をしている。訓練場で瞳にとどまっていた熱はとっくにあふれだし、普段の落ち着いた様子は見る影もない。興奮と期待を隠す気もないまなざしは、身も蓋もなく言えば股間に響く。
「……誰のせいだと思ってんだ」
うめくようにフリーは呟いた。気を抜けば興奮で声が上擦りそうになる。
止まっていた手をシャツの下に潜り込ませる。触れた肌は汗ばんでいる。小さく跳ねたウルフランの身体は、いつもより熱い。その熱さを確かめながらゆっくり手を這い上がらせていくと、震える吐息の合間にウルフランがうっすら笑った。
「俺のせいか」
わかってんじゃねーかよ。
言葉を返す代わりに、『か』を言い終わるかどうかのところでウルフランの口をフリーは自分の口でふさいでやった。ベッドが軋む。そのままねじ込んだ舌の動きは、愛撫と呼ぶには荒っぽさが勝るが止められない。
どうなっても知らねえぞ。
訓練場での自分の言葉をフリーは思い出す。
「ん、ン……ッ」
ウルフランはされるがままだ。口内を舌でめちゃくちゃにしながら触れた胸はフリーが触る前から乳首が硬くなっている。親指の腹で下から上に転がす。絡めていた舌がびくりと跳ねる。刺激が強すぎたかと宥めるように乳頭を撫でれば、艶を含んだくぐもった声が聞こえた。何をしても素直に返ってくる反応がたまらない。
このままでは本当に理性を飛ばして好き勝手にしてしまいそうで、荒っぽい口づけからウルフランを解放したフリーは奥歯を噛みしめた。
どうなっても知らねえぞというのは本心だが、ウルフランに無理をさせたくないのもフリーにとって本心だ。
「……っ」
だが、興奮しすぎている頭を冷やす前に伸びてきた腕が首に回る。
引き寄せられる。
唇が触れるか触れないかのところで、止まる。
間近で見る潤んだ灰青は、どうしたっていやらしい。
「……のぞむところだ、と言っただろう」
掠れた声で甘く囁かれたら、おしまいだった。
またやってしまった。フリーはそう後悔するだろう。
しかしそれはあとの話で、今ではない。
ウルフラン。
ぎらついた声で名前を呼ぶと、フリーは今一度、噛みつくように戦友へと口づけた。
―――
ウルフラン・ロウの手のひらで転がされるフリー・アンダーバーがめちゃくちゃ好きの会(?)
何言ってるの?という感じですが本編後のフリウルがお互いとしかエッチなことしないのもお互いにムラムラしなけりゃセックスしないのもめちゃくちゃいいな~~としみじみ思っています 合意の上でしかエッチせん推しカプ、“良”……(しみじみ)